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  • 認知ミス(無知・無理解)

認知ミス(無知・無理解)によるヒューマンエラー

認知ミス(無知・無理解)によるヒューマンエラー

認知ミス(無知・無理解)のによるヒューマンエラーとは、対象を認識する際に、対象に対する知識が不足していたり、対象を十分に理解していないために見落としてしまうことです。
その具体的な要因と対策を以下にまとめました。

内容 対策
1.正確に伝わっていない 復唱・確認会話・掲示
2.正確に伝えていない 現地・現物での確認
3.あいまいなことが聞けない 教育・聞きやすい雰囲気づくり
4.伝え方に問題がある 図で伝える、体験する
5.伝える情報が少ない 暗黙知の顕在化・裏図面

以下に具体的に紹介します。

1.正確に伝わっていない

相手に口頭で伝えた場合、その内容はどのくらい正確に伝わっているでしょうか。過去に「言ったことが相手に伝わらなかった」ために発生した事故は少なくありません。

事例1
2003年3月28日イラク戦争において、アメリカ軍のA10攻撃機がイギリス軍の車列を誤爆し、イギリス軍の兵士1人が死亡、1人が負傷しました。 原因は味方の象徴である車列のオレンジ色のパネルを、オレンジ色のロケットランチャーと誤認識したためです。2機のA10攻撃機のパイロットは最初オレンジ色のパネルと呼んでいましたが、次はオレンジ色のもの、そして最後は敵のロケットランチャーに代わっていきました。

業務を指示・依頼をした場合、受けた側が正確に理解したかどうか確認するには「復唱」が効果的です。相手の復唱を聞いて間違っていれば訂正します。
あるいは指示や依頼が長い場合は、内容を要約して復唱させます。(これを確認会話といいます。)
特に時刻、数、品番などは間違えやすいので、復唱で確認します。(注1)

確認会話の例
Aさん 「明日10時までに、A製品を500個トラックに積んでおいてください。」
Bさん 「はい、明日の10時までにA製品を500個ですね。」

しかし指示や依頼を受けたときは理解していても、時間がたつとあいまいになってしまうことがあります。重要なことは口頭だけでなく、紙に書いて指示します。指示した内容をメモし、掲示板に掲示すればメンバー全員が確認することができます。

掲示板

2.正確に伝えていない

事実を言葉で正確に伝えることは、意外難しいものです。さらに人は相手に対して自分に好感を持ってほしいと考えるために、伝える言葉には伝える人の意思が入り込んでしまいます。

事例
コロンビア大学のバーバラ・トブァスキー教授は、学生が他人に話したことを数週間にわたり調査しました。その結果、全会話の61%が事実と異なっていました。 最も多かった改変は、ディティールの省略(36%)で、次いで誇張(26%)と最小化(25%)、そして全くの捏造も13%ありました。学生は話を聞き手の好みに合わせただけでなく、自分の目的にも合わせて改変していました。

言葉は正確に伝えていない

対策
作業者は「やっちゃいました」と失敗を報告したとき、頭ごなしに叱られるようだと自分への非難を軽くしようと報告内容を脚色してしまいます。
問題が発生したときに最も重要なことは、再発防止を徹底することです。しかし問題に対する情報が不正確だと、的確な再発防止策を取れなくなってしまいます。
当事者に正確に報告させるために責任追及や犯人探しは行わず、事実確認に徹します。管理者は可能な限り現場に赴き、現地現物主義で自らも確かめます。

ミスを責めると真実は闇の中に

3.あいまいなことが聞けない

作業の内容に不明な点やあいまいな点があったときに、他人に聞くことに多くの人は抵抗感を持っています。これは女性より男性に顕著に現れます。

事例
アルバータ大学では、6歳、12歳、20歳の3つのグループの移動能力を調査しました。大学内のキャンパスを移動し、それぞれのグループがどれだけ早く正しい道を見つけ出し、どれだけ迷ったか調べました。
その結果一番道に迷ったのは、6歳の男の子のグループでした。
また迷っている間、女の子は、男の子より人の助けを借りてルートを正すことが多いことが分かりました。
これは、「女性は足を止めて人に道を尋ね、男性は闇雲に歩き回る」という典型的な例を示しています。

なかなか人に聞くことができない

聞きやすさは、相手との親密さに影響されます。(他人には聞きにくいけど、家族には聞けるという人は多いと思います。
特に昨今の製造現場は、正社員、パート社員、派遣社員、外国人研修生など様々な経歴や立場の人が働いています。そのため職場内のコミュニケーションが不足しがちで、 「聞けばすむこと」を聞かずに作業を行い、不良が発生してしまうことは珍しくありません。

対策
職場でのミーティングや親睦会などでお互いを良く知り、親しくなる機会を設けます。そして気軽に聞けるような人間関係を構築します。

親睦会でコミュニケーションを活性化

気軽に聞ける人間関係を構築

4.伝え方に問題がある ~OJTの落とし穴~

職場での作業方法の指導や技能の伝承にOJT(On the Job Training) を活用する企業は多いと思います。ところがOJTで先輩社員が教えても、細かなノウハウが伝わらなかったり、先輩社員の技能がうまく伝承されないなどの問題があります。

OJTは実務の中で、指導者と指導される側が一対一の関係で必要な知識や技能を修得するため、非常に効果の高い方法とされています。

しかし効果的にOJTを行うためには、習得すべき知識や技能を明確にし、いつまでに習得するか、計画を立てる必要があります。そして計画通りに行われているか、教育の効果を確認することも重要です。

現実には、OJTで習得すべき内容があいまいなまま、教える時間が十分に取れない先輩と、何を習得すべきか理解していないまま、先輩のやることを見よう見まねで学んでる後輩がOJTを行っている場合が少なくありません。(注2)

対策
OJTであっても教育訓練計画を作成し、教育内容と期間を決めます。一定期間ごとに効果を確認します。ISOを取得している企業ではISOの要求事項に入っているためISOの仕組みに従って進めます。

効果的な教育① 図で伝える

製造工程の勘所やコツを伝える作業指示書は、図と文章を組み合わせて作成します。 ところが海外展開する企業が増加すると、たとえ現地の言葉に翻訳しても、言葉のニュアンスが異なるため、意図を正確に伝えるのに問題が生じるようになりました。 そこで極力図と写真を多用し、視覚的に分かりやすい作業手順書を作成するようになりました。(注2)

要点を図で伝えた例

効果的な教育② アクティブ学習

講義形式の座学中心の学習をパッシブ学習といいます。 このパッシブ学習では知識がばらばらに頭の中に入り、知識が互いに結びついて構造化されることがありません。そのため、そのため費用をかけて外部研修に生かせても思ったほど効果が現れないことがあります。

これに対してアクティブ学習は自ら考えて行動し経験することで学ぶ学習方式です。 この場合自分の頭の中でモデルを作り、トライアンドエラーでモデルを動かしながら検証します。その結果その知識に対する思考回路が頭の中でつくられます。(注2)

外部研修などの座学で学習してきた場合も、それを実務の中で取り入れる場面を作り、経験することで研修の効果を高めることができます。
(パッシブ学習の結果をアクティブにする。)

受動的なパッシブ学習

パッシブ学習

自らが行動して学ぶアクティブ学習

アクティブ学習

5.伝える情報が少ない

作業指示書やマニュアルにどうしてそのやり方になったのか、根拠や理由が書いてないと、その作業に対する理解が浅く、ただマニュアルを守るだけになってしまいます。

事例 マニュアルの形骸化

時間の経過とともに作業指示書やマニュアルの経緯を知る人がいなくなり、作業手順書やマニュアルの以外のことを 「試してはいけない、考えてもいけない」 という融通の利かない運用になってしまうことがあります。
その結果、現実の製造条件の変化に合わせて変えることができなくなり、作業手順書やマニュアルが形骸化してしまいます。

これを防ぐためには、作業手順書やマニュアルは「守るためのものだが、変えるためのものでもある」と考えて、定期的に見直しを図ります。(注2)

対策

作業手順書やマニュアルに、その方法を決めた根拠や理由を記載します。NCプログラムや加工図面などを作成したときも、各部のやり方を決めたときの理由をメモ書きしておきます。

後日工程や加工図を変更する際、以前どのように決めたか確認することで、変えてはいけないところなのか、変えても差し支えないところなのか、判断ができます。
これを畑中洋太郎氏は、「裏図面」と呼んでいます。これは暗黙知を形式化する作業であり、これにより固有のノウハウを残すことかできます。

決定理由を記録する

参考文献

  • 注1)「みるわかる伝える」 畑村洋太郎 著 講談社

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